先週新宿南口の紀伊国屋書店で買って読んだ。小寺信良氏と津田大介氏が,9人のコンテンツ界の第一人者たちにインタビューというか3人で話をしたもの。
これはほんと読んでよかった。津田さんが委員を務めている文化庁の文化審議会著作権分科会の審議の模様なんかを見ていると暗澹たる気分になりがちだけど,コンテンツの未来はそんなに暗いものでもないと思えた。テレビやラジオの話は知らない情報もたくさんあったし,BOSEのイヤフォンとかロケフリとか,読んでいて欲しくなったハードウェアもいくつかあった。書籍では日本でおそらく初めてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを適用したこととか,飛ばし気味の脚注を目当てで読む本かという予断もあったんだけど,本文の充実ぶりを見るとそんなことは吹き飛んでしまった。
顔ぶれを見てわかるとおり,純粋なコンテンツクリエーターは(ウェブ界の大物,江渡浩一郎氏を除けば)含まれていなくて,コンテンツを消費者に届けるための生態系を整備することに従事しているというか,ビジネスとしてうまく回すことを問題意識としている人が呼ばれている。そういうことを真剣に考えているがゆえに生まれる知恵とかおもしろさというのが随所にある。コミケとかでの1日限定著作権解放の試みとか。自分も大いに刺激を受けた。
個人的にいちばん興味深かったのは中村伊知哉氏で,郵政省で放送と通信の融合にかかわる仕事をしていた経験の話が興味深かった。著作権なんかについても,どうも国に口を出させて法整備とかいう話になりがちだけど,まずは当事者間での交渉と調整が先に来るべきだということを改めて認識させてくれた。そしてその方向の未来こそ明るいはず。
あとは江渡さんのWikiの話だな。MediaWikiが本文と議論を分けたことがWikipediaの成功の土台になっているという指摘はさすがだと思った。これは自分のこれからの仕事にも応用できるかもしれない。